夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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zoom RSS いつか見るであろう悪夢の続き

<<   作成日時 : 2012/09/03 20:33   >>

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 いや、坂本龍馬って、幕末の志士の中ではどっちかというと「左」なんじゃねえのかな(フランス革命で、ジロンド派も左翼だっていう意味では)
 橋下大阪市長はその辺、どう思ってるのかな。これまでの言動から、あのヒト右翼(王党派って意味ね)でしょう?
 単にカッコ良さげだからだとすれば、まさにファッショ(ン)ていうことになるが。
『The Indifference Engine』 伊藤計劃 ハヤカワ文庫JA
 基本的に、『屍者の帝国』を読む前に読んでしまおうと(その遺稿を含んでいるし)いうわけで、9月最初はこれ。
 まず全体の「印象」から言えば、伊藤計劃は長篇型作家だったということが改めて分かる。(もっとも、彼にもっと時間があったらあるいは違ったかもしれないが)
 二編のマンガ(片方はその「原作」)、『ディファレンス・エンジン』の解説(それも、円城塔との合作という)それに件の遺稿という構成で、短篇小説は五編だけである。
 正直なところ、表題作の「The Indifference Engine」こそがこの短篇集の読みどころで、『007』のように誰でも知っているストーリー(それも映画版の)のパロディ(いかにも伊藤計劃〈らしく〉はあるが)ならともかく、やったこともないゲームについてのスピン・オフ小説については、どのくらいの深みがあるものなのか受け止めようがない……もっとも、ノベライゼーションは読んだので、「知識」はあったが。
 しかし、おぼろげな知識を持っているというのと、現にその「ゲーム」をすることで「時代」を過ごしてきた者とでは、感じ方の熱量が明らかに違う。
 逆のケースを散々経験してきたので、その(微妙な)文化的差異については如何ともし難いものがあることを良く知っているから、ソレらについての論評は差し控えたい。
「The Indifference Engine」について。
 アフリカで現実に起きていた/起きている、少年兵の「モンダイ」について、日本人でもこんな風に小説に書けるということを示したという俗っぽい一点だけでも、これには価値がある。
 ナノマシンを注入して「民族的差異」を感じられなくするという発想、その結果、その処置を受けた者と受けなかったものとの間に差異が生じるという結末。
 理由なり憎悪なりの「結果」戦争が起こるのではなく、理由なり憎悪なりを「発生」させるために戦争は起きるという地平にまで到達したこの小説は、ここ20年くらいの間に日本で書かれた最高の「戦争小説」だとさえ思う。
 最後の主人公の呼びかけが、(あの)傲慢なまでの潔癖、生き残るために妥協することへの拒否、に溢れていて、「少年小説」としても熱度が高い。
 これ1作読むためだけでも、この本を買う理由にはなる。

 他には、「セカイ、蛮族、ぼく。」が、セカイ観、と一時期(いまでもそうかな)サブカル方面で盛んに使われたコトバに対するシリアスな拒絶とブラックなパロディを共存させていて、伊藤計劃という作家の、本質的な部分が最も色濃く現われているのかもしれない、という気が実はした。

 セカイと、意識と、死と。
 この三つの(ある意味ありふれた)テーマの組み合わせで、他人が小説を書いても、決してこうはならないだろう。
 それこそがオリジナリティという言葉の真の意味であるのなら、伊藤計劃は SFという分野を超えて、「小説」の作者としてオリジナリティを有していたという何ともありふれた結論になる。
 しかし、オリジナリティってやつこそ、現代の「表現者」すべてに課せられた一種の呪いであることもまた事実であるならば、伊藤計劃は、最も「呪われた」作家でもあったということにもなるのである。
 
 
The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)
早川書房
伊藤 計劃

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