夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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zoom RSS 宰相の「責任」

<<   作成日時 : 2012/09/15 22:15   >>

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 古代中国では、こういう異常気象の責任は基本的に皇帝にあるが、いちいち責任を取って退位するわけにもいかないので、現代日本で言えば総理大臣にあたる役職(宰相とか丞相とかいわれる)の「責任」とされた。(だから、どれほど政治的に無能でもなれた)
 つまりは、形代である。政治を「まつりごと」というように、こうした宗教的、というかオカルト的な装置でもあったというお話。
 そのデンでいくと、民主党という政党自体が、大地震や異常気象の「責任」を取って「流され」ようとしている、という見方もできる。どこか根底にそんな「オカルト」な「気分」(「霊的」というと一見カッコいいが)は無いですか、ってことだ。
 殆どの「国民」が投票できない政党の党首選挙で、なんでこんなに騒いでいるのか、要するに、自分から観て「変な奴」が党首になったら、その政党に選挙で投票しなければいいだけだろ。それでもソイツが首相になっちまったら、自分の思いとは逆方向にクニが進むってだけで、そんなコトはいままで散々経験してきたことではないですか。
 それもまた、「民主主義」のリスクである。(ナチスも民主主義のリスクだったということも、充分考えて「民主主義」を語るべきだ)
 いや、次の総選挙のあとだって、「新しいこと」は別に何も起こらないとおもいますよー、正味のハナシが。
『ベヒモス クラーケンと潜水艦』 スコット・ウェスターフェルド 小林美幸=訳 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
 我々の歴史における〈第一次世界大戦〉では、基本的には「中世的な王権」と産業資本の論理による「新しい帝国主義」との相克という一面があった。日本もアジアの新興国として、その新しい「帝国主義」の陣営に加わったわけだ。
 このシリーズでは、それを異なる科学技術の相克として処理している。
 まあ、ソコだけ「SF的」なんだけど。
 ソレでも、イギリスを中心とした「ダーウィニスト」の陣営はそのテクノロジーが異形なだけで、ちゃんと「産業資本による帝国主義」的だし、「クランカー」の側は皇帝権、ローマ教皇、古い神々といった「オカルト」な王権の残滓が存在する。
 何が言いたいかといえば、その辺の歴史的経緯は、ちゃんと抑えているということだ。欧州の没落とアメリカの勃興、というのも、この巻ではちゃんと描かれる。欧米文明の歴史認識の「強固」さが、そういったものから、どちらかといえば眼を背けて来た日本人との相違が思われるトコロだ。
 アメリカ人の登場人物が出てくるが、ナント新聞記者だ。これ以上の類型はないってカンジである。(ダーウィニストとクランカーの「いいとこ取り」というのも、いかにもアメリカっぽいし)
 全体として、二巻目らしく、言ってしまえば「中だるみ」の要素は確かにある。「ダーウィニスト」の側の異形のバイオテクノロジーも、慣れてくるとさほど引っかからなくなるし。
 今回の舞台であるイスタンブールと、オスマン・トルコ帝国の滅亡という「重大な」出来事も、実にあっさりと描かれてしまって、その「軽さ」が「現代的」ってことなのだろうか。
 なにしろ、吹っ切れたように「偶然」がストーリーに与える影響が多用される。(例えば、アレックがトルコ内部の反政府組織と遭遇する「偶然」さとか)
 ソレは、波乱万丈の「貴種流離譚」としては珍しいモノではないし、「俺っ娘」のヒロイン(まあ、それは日本だけかもしれないが)と、今度はラブコメ風味の展開もあるし、現代の大衆文芸(もっとブッチャケれば、ラノベ)としてはキチンとした背景設計と異形のセカイ観、それから、コレは日本のラノベには「無い」要素だが、19世紀以来の文芸的伝統に即したストーリー展開……そういうモノとして読めば充分に面白い。
 ま、基本的な要素は(日本の少女マンガでは)20年くらいムカシのラブコメなんだけど。この巻のサブ・キャラの出し方が、また…
 全般的にいって、その辺の「軽さ」が、編集部に妙な副題を付けれられる遠因にもなっていると思うが、そりゃ、どうなの。
 SF者としては、「ダーウィニスト」の側の頭の中身と「生活」が一番知りたいことなのだが…(「クランカー」の方は、機械文明としては(それに、散々ロボット・アニメを観た日本人としては)お馴染み、だし)
 その辺もちゃんと描かれるのか(最終巻だしな)、第3巻に(日本も出てくるみたいだし)期待しようか。
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