夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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zoom RSS シンゾー君のおなか

<<   作成日時 : 2012/09/27 20:17   >>

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 ポンポン痛いって生徒会長を辞めたシンゾー君が、また学級委員長になりました。
 ひでえクラスだぜ。
 ……そんな、小学校でも有得なかった状況。
『現代怪談実話傑作選 私は幽霊を見た』 東 雅夫=編 MF文庫ダ・ヴィンチ
 今年は何故か夏に怪談本を読めなかったな。辛うじて読めたと思ったら、季節の方が急に飛び越えてしまったカンジだ。
 もっとも、このところの代表選やら総裁選にはナニヤラうそ寒いものを感じるので、怪談的状況には直面していたわけだが…だがこの怪談的政談、面白さという点では芸が無い。 それでこの本だが、題名もそうだし、それこそ小学生時代の夏休みへのノスタルジーに満ちている。
 怪談本というのは、あまりに暑いと情緒が無い。
 盆を過ぎたあたり、例年なら草むらで虫の声が〈秋〉の音を奏で始める頃に、夕暮、素早く暮れなずんでいく空の黒さと、ボウっと、白々と光る蛍光灯の下、出来れば縁側で読むのが最高のシチュエーションだという気がする。
 そんなノスタルジーを誘うギミックのひとつでもある。
 スイカとかトウキビとか、蚊取線香とか、パタパタと迷い込んで来た蛾を団扇で追うと、蛍光灯にぶつかりながら微かな音を立て始める。あまりに淋しいので、テレビは音量を絞ってつけっぱなしにしている。
 そんな夏休みの終わり近い頃に読む怪談本には、独特の味があった。
 こんな思い出話(たぶん、美化120%という風景ではあるが)をしているというのも、この本の中に、あの懐かしい「幽霊の絵」が出てくるからに他ならない。
 本書221ページにドーンと出てくるこのグロい絵に、「懐かしさ」を感じるのもどうかしているとは思うが、この絵と再会した時、前記の風景というか光景とともに胸に迫ってきたのは、「二度とは来ない小学校時代の夏休みへのノスタルジー」としか言いようのないものだったのは、確かなことだ。
 もちろんそれは、巻頭の平山蘆江「怖い・凄い・不気味な」にあるような、明治の少年の怪談へのノスタルジーとは、明らかに違う。
 夏休みとなればやっていた、テレビの恐怖特集、怪奇とかホラーとかの特集を組んでいたテレビのロードショウ、そして怪談本…思えば、友達同士で肝試ししたり、夜誰かの家に集まって稚拙な怪談話に興じたりしたような経験は(それも、熱心に自分自身が企画して行ったにも関わらず、大抵はシリツボミで終わる)指で数えるほどしかなく、大抵はメディア由来の環境に拠っている。
 この傑作選に載っているが如き怪談実話もそのひとつだった。
「本当に生活に根ざした怪談」、つまりわたしにとって怪談は、「あそこの家」で、「あの路地」で、「あの原っぱ」で、幽霊や妖怪に出会ったというような民俗的なカタチではなかった、ということだ
。もっとも、当時はそんなことを考えもしなかった。
 ただ、怖がったり怖がらなかったり(その〈判定〉の基準は限りなく曖昧だが)前述のように「怪談本」を読むというシチュエーションそのものにむず痒い愉悦を感じたりしていただけだ。
 あの幽霊の絵は、そのグロさと、絵としての稚拙さの絶妙な配合がとてつもないインパクトをもたらし、初めて眼にした夜になかなか眠れずにいたことを憶えている。
 内容も、誰が筆者だったかも憶えていないのだが、あの絵だけは脳裏に焼きついてしまっていたらしい。
 実は、初めて読んだものは、怪談としては大したことない場合が多い。「実話」だから、だろう。まあ、ちゃんと「芸」の域にまで達しているのは稲川淳二の「生き人形」くらいで、あとは三浦朱門と遠藤周作の、それぞれの視点からの同一現象のリポートが、かなり面白いと感じたくらいである。(それと、柴錬の、一種のミステリー仕立ての短篇に「なってしまう」作家的業、も)
 それでも、この実に様々な心霊観というか、異常現象観が雑多に混じった構成そのもの(互いに矛盾することもある)が、「怪談実話」というもののむず痒いカンジの愉しさ、ノスタルジーさえ誘う愉しさの現われではある。
 牧野吉晴、佐藤春夫、富沢有為夫のは、連作といってもいいくらいに関連しているのだが、こう並べると確かにブンガク的(あくまで「的」)域にまでは達しているし、それと中岡俊哉、新倉イワオの言っちゃ悪いが如何わしさ漂う記事を並列するところに、「怪談」というものの愉しみ、があるのだとしみじみ思う。
 あまりにも芸の無いセーカイのカタリを見るにつけ、国会議員ひとりひとりに「怪談」を語ってもらえば、その人格的云々がもっとはっきり透けて見えるのではないか、そんな気がする寒い初秋である。
私は幽霊を見た 現代怪談実話傑作選 (文庫ダ・ヴィンチ)
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2012-08-23
平山蘆江

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