夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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zoom RSS セカイが終わる日

<<   作成日時 : 2012/12/22 22:13  

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 ナニかの予言で、今日(昨日、だったのかな?)はセカイ最後の日だそうで。
 どうも、ご無沙汰しておりました。夷洲でございます。
 ここ一ヶ月以上、私事でも公事でもグチャグチャな日々が続きまして…その状況が良くなったわけでも、形になるまでやり遂げたわけでもないのですが、せっかくココまで続けてきたブログですので、この予言の日に便乗して再開することに致しました。
 それにしても、1999年ほどの騒ぎではないにしても、15年に一回くらいはこういうのがあるんですな、我々の〈文明〉ってのは。
 選挙の結果とか、猪瀬都知事とか、北のロケットと称するミサイルw(今回はあの〈飛翔体〉というカッコいい言葉は使われなかったようですが)とか、おじいちゃん子のシンゾー君の言動とか、さすがにマクラに使うべき題材も溜まりすぎてますので、この辺で本題をば。
『屍者の帝国』 伊藤計劃×円城 塔 河出書房新社
 私事の「問題」というのが、実は生死にまつわるモノだったので、その最中にコレは(個人的に)効いた、というのが率直な感想だ。
 あまり余裕(ゆとり)が無い状態で読むことになったのは、しかし、この本には実はぴったりだったかもしれない。
『フランケンシュタイン』の博士が発明したテクノロジーが、規定の文明的所産として活用されている世界が舞台だ。つまり、蘇らせた死体が、(様々なレベルの)労働力として、あるいは兵力として使われているということである。
 その技術が最も発達しているのは無論大英帝国で、主人公が医学生ジョン・H・ワトソンであり、彼が諜報部のエージェントとして、アフガニスタン、ニッポン、アメリカ合衆国を遍歴する、というのが基本的な内容だ。
各章に登場する、TVシリーズで言えば〈ゲスト〉が、それぞれ有名な小説中の(架空の)登場人物であるという点が、まず目を惹く。主人公自体がそうであり、そのセカイ設定の根幹に関わるのが『フランケンシュタイン』とその怪物(クリーチャー)なのだから、これはある意味当然かもしれないが、まず第一部で出会うのが『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャ(アレクセイ・カラマーゾフ)だというのが、何となく嬉しくなる。彼がアフガニスタンの奥地に、闇の奥(地獄の黙示録)よろしく〈屍者の帝国〉を築いているという展開も、大いに堪能できる。
 そういったエンターテイメントとしての部分を愉しめばそれでいいという気もする。そういう意味では、近年になく「華やかな」部分を持ち、しかも骨格がしっかりした(プロットが彷徨うことがない)娯楽小説である。
 大部分を円城塔が書いたことを考えれば、形而上的な意味でのわかり難さが少なすぎると感じる程だ。
 ただ、こう、何と言うか、「屍者」の描写が身体的でない……巧い言葉で表現できないが、生々しさにけるというか…かなりデジタルに変換されているというか、そんな感触が最後まで付き纏った。
 文字通りの、「死」を目前にした伊藤計劃が最後まで書き終えられたのならば、おそらくそうした部分がもっと強調されていた気がするのである。一読者の勝手な思い込みかもしれないが。
 有名な架空人物(つまりは、〈小説家〉の〈創造物〉だ)が乱舞するのも、実は生者たる読者に(「死」を)受け入れ易くするための方便ではないだろうか。
 意識とか、魂とかいうモノにとっての、肉体の死。
 神の創造物(クリーチャー)としてのヒト。
 チャペックの『ロボット』にどこか深いところで重なる、労働力としての死体。
 かなり重層的に読めるし、その重層さの加減こそが、SFというものの本質的な魅力であることが再確認できる。
 だがそれらの重層化されたテーマ性が、(実は)メンタルではなく、むしろフィジカルな感覚に寄るのが伊藤計劃という作家の良いところ、だったのではないか、とコレを読んで改めて思った。
屍者の帝国
河出書房新社
伊藤 計劃

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