「白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい」小山鉄郎 白川静=監修 新潮文庫

 白川静、という学者の本は読みたいが、そのすべてを読むには時間も気力もない。
 この文庫は、入門編としてうってつけだ。

 白川静の学説というのは、とても刺激的で面白い。
 漢字というものは、ほぼ総てが〈神事〉と〈軍事〉にまつわる成り立ちを持っている、という説は。
 そもそも、その二つの事柄を記録するために作られたモノであると。

 だから、例えば「犬をめぐる漢字」の章を見ればわかるが、【伏】も、【然】も、【戻】【器】【突】【獄】…これらの文字の中の【犬】は、すべて犠牲にされた犬、つまり死骸である。

 文字の中の【口】が、(吉、古、告といった字の)実は神への祝詞を入れる箱、だというのが白川センセイの重要な発見であるらしい。
 殺したり、傷つけたり、埋めたり、人も犬も羊も、感じの中では碌な目にあっていない。

【民】というのが、目を傷つけて奴隷とした人のことである、というのは、【民主主義】を標榜するこの世の中にとってどうなの、という気がしないでもない。
 ある意味、古代と、その意味がさほど変わっていない気もするが。その〈見えない人たち〉を主と祭り上げて置いて、【政】治家たちは何をしているのか、という気も、どこかでするからだ。
【政】の右側、旁の部分は、鞭で相手を叩くという意味、【正】というのは、相手の城壁の前まで進軍して止まるという成り立ち。どちらにしろ、力で相手を従わせるという意味だそうだ。つまり、【政治】には軍事力(又は警察力)が不可欠な要素だという、大事な事を思い出させてくれる。

 まあ、そんなこんなで、漢字の本当の意味は殺伐としたリアリズムに則っていて、面白いことは面白いが、あまり深く思いつめると、パンドラの函の如く、何か変なモノが飛び出してこないとも限らない。
 漢字相互の関連性は、とてもわかり易いのだけれども。
白川静さんに学ぶ漢字は楽しい (新潮文庫)
新潮社
小山 鉄郎

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それからそれへと漢字 ...
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