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2009/11/02 03:28
10年近くも積んであった本。
ドイツ・ベルリン在住の作家5人によるアンソロジーである。
〔壁〕崩壊から10年後のベルリンを舞台としたノワール小説が5編。
〈東〉が3人、〈西〉が2人ということだが、日本で読んでもその違いが明快にわかるというものでもない。
内容も、質もバラバラだが、Sバーン(都市近郊鉄道)が何らかの形で登場するということだけが共通している。コンセプト・アンソロジーとでもいうか、お題を出したというか、こういう本は日本ではあまり見かけないから新鮮である。
解説で知ると、気に入ったのはおもに〈東〉の作家だ。まず、ノワール小説の舞台としては、当時(2000年)は〈東〉側の方が相応しかったのだろう。
ただ、ベルリンの地図くらいは巻頭に入れて欲しかった。詳しく知らない〈都市〉の小説なのだから。駅の位置関係とかが掴めれば、もっと面白かった気もする。
「犬を連れたヴィーナス」という巻頭の小説は、何となくプロット無視な感じがする〔ドガチャカ〕した内容。〈西〉側の爛れた雰囲気は出ているが、小説の展開の仕方としては、〔感覚〕を優先した私の嫌いなタイプである。実は、巻頭がコレだったせいで、10年前に読むのを中断したらしい。アンソロジーというのは、配置の仕方が重要なのである。
「ガードマンと娘」「ブランコ」「狂熱」という、〈東〉の作家3人の小説は、アノ時でなければ書かれも、読まれもしない小説である。一夜にして、何もかもが「変わって」しまう体験というのを、文芸的に表現する。ノワールな小説に〔自然に〕なる。
つまりは、日本の〔戦後〕の小説と似た雰囲気(「野獣死すべし」とか)になってしまう、ところが、私の中にスッと入ってきた所以だと思う。
各作家の温度差すら、あの一時期でなければもう二度と表現できないだろう。その意味では貴重である。
2009年の今、読む(しかも、外国人が)意味はほとんど無いかもしれないが。
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