夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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zoom RSS イーシャンテンの社会学

<<   作成日時 : 2012/10/03 20:39   >>

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 いやあ、ニッポンの〈ジリ貧感〉も半端なモノじゃなくなっていますな。
 特に、最近の民主党はどうにも歯がゆいカンジがする。
 どうせこの場(半荘オーラスかもしらんが)でトップが取れなさそうなのはわかっているんだから、役満狙いをやってもいいと思うのだが。
「原発を2030年までに全廃」と突然ハッキリ言ってみるとか、ドーセ自民党には出来なさそうな大衆迎合的な政策でガンガン攻めてみれば、役満テンパイまでいかなくても、イーシャンテンくらいはいけるかもしれないのに。出来もしないことを(身勝手に)唱えるのは得意技だっていうのにな。
 以上、秋の夜長の床屋政談でした。
『夢小説・闇への逃走』 シュニッツラー 池内 紀・武村知子=訳 岩波文庫
 オーストリアの「世紀末作家」が、20世紀に入ってから発表した中篇集。
 暗い。思い切り暗いので逆に笑えてくるほど暗い内容。
「死んだガブリエル」は、失恋で自殺した友人の(その失恋の原因は自分自身だ)婚約者との、頽廃的なパーティでのニアミスを描いた短篇。短篇だから、漱石の「こころ」みたいにはならない。友人の自殺に関しても、その原因であるヴァンプとのアバンチュールにも、友人の婚約者との奇妙な緊張感のある会話にすら、主人公はそれほど〈心をうごかされて〉はいない。
 かといって倒錯しているわけでもなく、淡々と「挿話」が平坦に進んでいく。
 総てのモノが遠ざかっていく、「現実味」の無い世紀末の風景。その点描だ。
「夢小説」は、キューブリックによって映画化されている。確か『アイズ・ワイド・シャット』とかいう、わけのわからん題名だった。(眼を大きく閉じる、だから)
 題名どおり、夢と現実が混じり合うという内容。ウィーンで開業する医者と、その妻との〈妄想合戦〉だ。いま現在読めば、NTRとか、一種の夫婦間の夜の「プレイ」に見えてしまうのだが。実際、作者としてはそんな要素が意識の端にでも無くはなかったのではないか。フロイトとも親交のあったらしい世紀末作家なら、それくらいであって欲しいという願望でもあるけれども……
 むしろ、この集中の白眉は「闇への逃走」だろう。
 要約すれば、徐々に狂っていく男のハナシなのだが、その狂気、というか、払っても払っても頭の中に戻ってくるある妄想(その内容が、自分は狂っているのではないか、あるいはいつか狂うのではないかという、いわば「循環する妄想」なのが巧い)と、兄との複雑な関係、死別した妻を、実は自分が殺したのではないかという怖れ、友人や上司に、自分のこの妄想が筒抜けなのではないかという(誰でも覚えがあるかもしれない)恐怖が、ジワジワと不安を増大させていく。
 近代人の典型的な症状、「自意識過剰」だ。この「自意識」というのが一番厄介で、しかもそれから離れることができないというコトは、〈この文明〉で生きる者(つまり「我々」には特に説明しなくてもわかる。
 この小説が発表された1936年から、むしろその症状は悪化の一途を辿っているかもしれない。「夢小説」と較べて、この「闇への逃走」がさほど時代掛って見えないのは、自意識の無限循環(ループ)がむしろ現代人にこそ切実なモンダイだということを示してはいないか。
 つまり、「あるある小説」だということだ。
「世紀末作家」が、世紀末よりもっと怖ろしい未来の不安を幻視した、と言えば褒め過ぎかもしれないが、日本のみならずセカイがあの1930年代と似通ってくる状況の中では、充分に「読み応え」のある中篇だとは言える。(それと、実は『ハーモニー』などの、日本2000年代SFと、根が同じ主題(テーマ)性を持っている)
 このヒトの「(自)意識」がもたらす弊害が、ゆっくりと衰弱していくセカイの、いわば破滅へのイーシャンテン、でなければいいのだが。
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