夷洲斎日乗   老読者の読書日記

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<<   作成日時 : 2012/10/19 18:17   >>

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 このブログのサーバーの調子が悪いみたいで、この文章も投稿できるかどうか微妙だが、一応書いておく。
 米兵による強姦事件、ほんとは「直ちに(w」ノダがオバマに厳重抗議するところじゃねぇの?
 パフォーマンスでも何でも、それくらいやらないとな。
 ジツはこういう「問題」が一番キツいはずだ。「感情」の「問題」だから。オスプレイも尖閣も、絡み合ったまま爆発しかねないくらいの「問題」ではある。
「感情」の「問題」が一番キツい「問題」だと思えなくなっているトコロに、本邦の「政治」や「経済」の劣化の本質がある気がするのだが。
『アダムとイヴ/至福郷』 ミハイル・ブルガーコフ 石原公道=訳 群像社
『犬の心臓』で有名な(でもないか)ブルガーコフの生前上演されることの無かった(禁止された)戯曲二篇。
 何より、二つともSF劇だという点。
「アダムとイヴ」は、毒ガス兵器で人類が滅亡する(数人が、それを無効化する装置で生き残る)という破滅テーマ。
「至福郷」は、20世紀ソ連時代の科学者が、23世紀へ時間移動するという…説明の必要もない時間テーマ。
 完全に、というか、堂々たるSF戯曲だ。言い訳すら必要ではない。
 もちろん、時代的社会的な制約であるとともに、半ば以上は作者本人が意識して、SFとしては「古典的」な相貌をしているけれども。
「アダムとイヴ」のシンプルさには、2012年、ナガサキ・ヒロシマは言うに及ばず、チェルノブイリもフクシマも経験済みの我々(人類)にはエッジというか、凄みすら感じる。人類滅亡が〈核兵器〉でないのは単に時代的な関係だが、ソ連が戦っている「敵」はどうやらドイツらしい。(使われる「毒ガス兵器」も、ドイツは実際に欧州大戦で使用済みだしな)もっともこの「毒ガス」かなり上空で爆発して広範囲に影響する「新兵器」らしい。何だか、〈中性子爆弾〉を思い起こさせる。
 建物は無傷で、ヒトだけが死んでいる街の様子……それを舞台で表現するとなると大変だろうが、その「カンジ」は良く出ている。出すぎていると言っても過言ではないくらいに。
 一幕目で、アダムとイヴの新婚家庭に、次々と厄介な客が訪れて来てはプチ騒動を起こす、風刺が効いた喜劇的シーンが、突然、何の予兆もなくバタバタと人が倒れていく破滅に変わる。本当に、ガラッと変わるのが印象的だ。
 訪問者の一人である科学者の持っていたカメラに似た道具の光線を浴びた者だけが、結局生き残る。
 そして、前述の滅亡シーン(レニングラードのデパート、という舞台設定が素晴らしい)を経て、生き残った少数の「人間ドラマ」に変わる。
 人類の存亡といった重大事を前にして、まだイデオロギーや戦争の遂行、個人的な愛や憎悪、果てはドル紙幣などへの執着を露わにする人間たちのドラマだ。
 最後の台詞が、(原発事故のその後の経緯を「体験させられた」我々からすれば)一層ゾッとさせる響きを持っている。
「書記長があなたに会いたがっていますから。」
「至福郷」は、未来への時間旅行ものとして当然だが、文明批評の構造を持っている。未来(23世紀)へ行く3人が、科学者、アパートの管理人(ソ連のアパートだから、当然公務員である)、そして詩を口ずさみながら時計を盗む陽気なキャラクター、ミロスラーフスキイという組み合わせなのも、少なくとも「喜劇」を予感させる。
 最初から、イワン雷帝を呼び出してしまうというドタバタがあり、偶然三人が未来へと飛んでからもその雰囲気は続く。
 その未来社会は、もはや「共産主義」という言葉すら意味を持たず、警官すら存在しない、(逆説的な)究極の管理社会だ。調和研究所という(これも逆説的に)胡乱な響きを持つ機関が、ソレをほのめかしている。
「アダムとイヴ」よりも明るいが、観客が真の意味で「希望」を託せる登場人物が、時計泥棒(「現在」でも「未来」でも変わらず盗み続ける)だというのが何とも皮肉だ。
「アダムとイブ」でレニングラード全滅。
「至福郷」では共産党の消滅した未来。
 そういう外側の部分で上演禁止になったようだが、ブルガーコフの幻視力は、その後何十年も誰にも読まれることも観られることも無くとも、確かに一級の「ブンガク者」のものだ。
 SFの側からも、この二つの戯曲はもう少し評価の余地はあると思うのだが…… 
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ミハイル・アファナーシエヴィチ ブルガーコフ

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